昔は陰徳と言って「自分が行った良いことを、世間に知らせては
いけない、知らせると効果がない」などと言われていましたが、
けっしてそんなことはありません。
それどころか現代では自分が良いことをしたらどんどんコマーシャル
をする必要があります。コマーシャルをすればするほど、なるほど
こういうことをしなくてはいけないのかと思う人が増えます。
正しいことの拡大再生産ができるわけです。自分一人で勝手に
やって、自分だけ満足して天国に行っても、それでは大したことは
できません。また生まれてきた義務の半分しか果たしていません。
任天堂の会長の山内さんは、京都大学に病棟を一つ寄附しました。
病棟と言ってもCTやMRIも完備した数百床のベッドを持つ、地方の
県病院クラスの病棟です。備品も含めて費用の300億円を全額
山内さんが出しました。恐らくこの病棟のおかげで今後数千人、
数万人の命が助かるはずです。これこそが生きたお金の使い方
だと思います。
本人が積極的に吹聴しなくても、こういう話は世の中に伝わって
いきます。それを無理に隠すことは罪です。無理に隠せばせっかく
のプラスが大幅に減ってしまいます。山内さんの話を聞いて素晴
らしい、自分もこんなことがしてみたいと思う人が世の中に一人でも
出てきたら大成功です。誰かが素晴らしいことをしたという話が
世の中に広く伝われば、同じことをしようという人が増えてきます。
若い人の間に、起業をしてお金を儲けるだけでなく、うんと儲けて
山内さんと同じことをしようという人が出てくるかもしれません。
これからは良いことは積極的にでも知らせる陽徳の時代です。
任天堂が販売しているDSは子供ばかりか、たくさんの大人までが
買っています。先日は電車の中で70を過ぎたおばあさんが、
一生懸命DSを使って脳トレーニングをやっているのを見かけました。
一時期は家電量販店にもほとんど置いてなく、たまに入荷すると
すごい列ができてたちまち売り切れの状態が続いていました。
その後任天堂が発売したWiiも世界中で大ヒットしています。
これだけの任天堂の大躍進と好調の陰に「何かある」と感じて
しまうのは私だけでしょうか?
坂井 優基 著 「 パイロットが空から学んだ運と縁の法則 」 より