無理難題にも驚いている場合ではない。

 

前回につづき、前リッツ・カールトン日本支社長 高野 登さんの話です。

 

東京だとクリスマス時期の金曜日ともなると、ほぼタクシーが捕まりません。

 

そういう時は、ホテルに行くわけです。

 

この時、10軒のホテルがあったら、8軒までのドアマンがかけてくる言葉があります。

 

「こちらにお泊りですか?」

 

この言葉からは、「泊まってもいないのに、タクシーだけ使う客」

という言外のメッセージが伝わってきます。

 

そのようなことを聞かれたとしても、

 

「いえ、たまたま今日は泊まってはいませんが、以前に3回くらい利用したことがありまして。」

 

などと余計なことは言わないでしょう。

 

おそらくお客様は不愉快な気持ちになり、

 

「二度とこのホテルには来たくない」

 

と思ってしまうかもしれません。

 

こんな時まずは、「ホテルの中の暖かい所でお待ちください。」

 

のひと言だけでいいんです。

 

「タクシーが来たらお呼びしますので、中でお待ちになりませんか?」

 

というひと言だけで、それ以上言う必要がないんです。